
「ハクビシンと家ネズミ3種」 2011 イラストボードにアクリルガッシュ
ハクビシンは明治期に毛皮用として中国から持ち込まれたものが野生化したとの説が有力で、それ以前の古文書にも化石記録にも存在が確かめられないので、「限りなく外来種に近い」動物として宙ぶらりんな位置にいる。
ハツカネズミは紀元前3世紀ごろには日本に定着していたようである。弥生時代の高床式倉庫に取り付けられた「ねずみ返し」は彼ら専用サイズだそうだ。
クマネズミは東南アジアの森林に住むおとなしい野ネズミだった。6世紀ごろ大陸から仏教とともにやってきたらしい。船に積まれた大切な仏典をかじったのは彼らの仕業と言われている。
ドブネズミは中央アジアの草原地帯に住む勇猛果敢な野ネズミだった。16世紀後半には日本の主要都市にも生息域を広げていたと見られる。長屋の行燈の油をなめに来てそれを倒し、江戸の火事の主要因は彼らだったとうわさされている。
上記のネズミたち3種類は昔から人里近くに生息してきたことから「家ネズミ」と総称され、江戸時代の人々は彼らをペットとして改良し親しんでさえいたのだ。
ハクビシンと3種のネズミたちは比較的新しい日本産動物であることは間違いないようである。
時折迷惑がられて害獣あつかいされ、家ネズミに関しては日本産野生動物であるにも関わらず許可なしで退治できるので、「ねずみとり」は購入しほうだいだ。
よく見るとかわいい彼らを、少しだけでいいから大目にみてやってはくれまいか。