歩行のしくみと脚の関節


歩行には主に「蹠行性(しょこうせい)」と「指行性(しこうせい)」の2つのパターンがあります。



蹠行性

足裏をかかとまで地面に着ける歩き方です。
ヒトを含んだ、クマ・アライグマ・サルなどがそうです。
多くは5本指を持ち、速い走行にはあまり適しません。速く走るためには手足の指数を減らし、着地面積を小さくしなくてはならないからです。

(*矢印は後ろ足の踵の位置)

指行性

指先だけを地面に着ける歩き方です。
イヌ・ネコ・シカなどがそうです。
多くは指数が減少または退化傾向にあります。蹄を持った動物は手足の先端のみを着地させ、より速く走ります。脚が細くて軽いので、その付け根の筋肉を動かすだけでいいからです。背骨の波動状の動きを極力抑え、エネルギー消耗を減らした分長時間走行も可能になりました。

(*矢印は後ろ足の踵の位置)



脚の基本的なつくりは我々人間と同じです。
関節の位置がちょっとずれているだけなので、注意して比べればそのことが良く分かると思います。肉球やひずめ、アザラシやアシカのヒレ脚、コウモリの翼など、特殊化した手足の違いなども比べてみると面白いです。


関節の位置

イヌ、シカ、ヒトの前足です。
緑印は指の付け根、黄印は手首、赤印は肘、青印は肩の関節を示します。手首から先の長さの違いに注意してみて下さい。

手先のつくり

イヌ、シカ、ヒトの前足の裏です。
親指から順にそれぞれに番号を付けてみました。同じ番号は互いに同じ指を示します。
肉球も蹄の底の組織も、走行時のクッションとして発達しました。その必要がなくなったヒトの手は、指が大きく発達しました。おかげで「器用な手」を手に入れることが出来たのです。


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