「ホンドテンとエゾクロテン」   2011 イラストボードにアクリルガッシュ

エゾクロテンは北海道の在来種であり主に道北・道東に生息している。
ホンドテンの本来の生息地は本州であるが、現在道南を中心に野生個体が確認されている。
エゾクロテンとホンドテンはほぼ同大で食性も似ていて、両種の生息域が重なる道央では交雑が心配されている。

満州事変後、国策としての毛皮生産が奨励され、ホンドテンの中でも特に貴重とされた「キテン」の養殖が北海道でも1940年代から始まった。
「キテン」とは毛の色による呼び名で、昔から主に猟師や毛皮業者が使っていた。
キテンは冬になると、頭部は純白に、四肢の先に若干褐色部を残した他は全身山吹色に毛変わりする美しいホンドテンであり、さらに細かく「ネジロ」「ネアオ」「ネアカ」などの専門用語で格付けされていたほどである。
結局、戦争下におけるエサ不足のため放逐され、それが野生化したのが始まりである。

作品は、獲物を探して雪原を歩いていたエゾクロテンがふと何かの気配を感じて頭を上げたところ。
その視線の先には立ち上がってこちらを見つめているホンドテンが・・・。
この後の両者の反応は、ご想像におまかせしたい。