「足と耳」(ノウサギの自慢)   2012 イラストボードにアクリルガッシュ

ウサギ目ウサギ科、基本的に単独生活、どちらかと言うと夜行性、夕方から朝方にかけて採食のため森の中を跳ね回り、時折草原に出てきてはやわらかい葉や花をかじる。
二昔前までは都市近郊の河川敷でも姿を見かけたが、最近はもう見ない。身近な野生動物だったのに、河川のグラウンド整備や都市型の画一的な草刈などで、我々人間は彼らの生活空間を知らず知らず奪ってきたのだ。このことはノウサギだけに限ったことではないが・・・。

初夏の頃草地に直接生み落とされた仔ウサギは、母ウサギが夜間授乳にもどってくるまでじっと動かず草陰にかくれてまっている。飼いウサギ(こちらはアナウサギの家畜種)と違って巣穴も掘らず、赤ん坊は生まれた時から毛が生え目も開いている。独り立ちもその分早いし、運動能力もアナウサギより高い。
ほとんど人に慣れることが無く、安全な巣を持たない彼らは常に警戒を怠らない。危険を察知する長い耳は、休んでいる時も走っている時もピンと立てている。

大きく強靭な後ろ足のジャンプ力はすばらしいが、斜面を下るのは苦手だ。
勢子がノウサギを追い出す際に山の上手から行うのはこのためで、ぎこちなく走り下りてくるノウサギを待ち構えて捕らえる猟が、冬の間の行事になっていた地域は多い。
天敵だらけのノウサギにとって、周りの環境を常に把握することはとても大切なことだ。
時折草むらから真上に跳びあがり空中でくるりと体をひねる「偵察跳ね」は、彼らにとってやむにやまれぬ行動らしいが、どこか楽しげに見える。
ノウサギの肉はやわらかくて、くせのない鶏肉にちょっと似ているがもっと甘みがある。骨が細くてもろいから、そのままブツ切りにして野菜と一緒に煮込む鍋料理が主流だ。骨ごと細かくたたき味噌とあえて肉団子にして食べるのもおいしいらしい。

日本国内における狩猟は、「鳥獣保護法」にのっとり様々な規約で制限がかけられている。
狩猟してよい鳥獣と狩猟してはいけない鳥獣があり、狩猟期間も11月15日〜2月15日近辺と決まっている。(自治体によって多少時期のずれがある)
狩猟をするには狩猟免許が必要で、狩猟方法にも規定があるので気をつけたい。