頭骨のつくり


頭蓋骨・下顎骨・舌骨からなり、下顎骨と舌骨以外の骨は一つに癒合してまとまっています。
(*ただし、幼獣は癒合がまだ進んでいないので頭骨は細部まで分解出来ます。)



歯の分化と歯式


哺乳類の歯はよく分化が進んでいます。
左図のヒトの頭骨を、赤色は切歯、青色は犬歯、黄色は前臼歯、緑色は後臼歯、と色分けしました。

まず鼻先を左側にして頭骨を横から眺めます。
歯式とは、口先から順に、切歯( I )・犬歯(C)・前臼歯(P)・後臼歯(M)の4種類それぞれの歯の数を記したものです。
分数それぞれの上段は上顎、下段は下顎の歯数を表します。これは片側の歯だけなので歯の総数はその倍になります。

ヒトの場合
歯式 I 2/2・C 1/1・P 2/2・M 3/3(おやしらず含む)
歯の総数 2×(2+2+1+1+2+2+3+3)=32本になります。



歯の形態

1 肉食獣

犬歯・裂肉歯(上下各1個の特に大きく鋭く変化した臼歯)がよく発達していて、肉を噛み切ることに長けた構造です。下顎は上下にしか動きません。目は獲物との距離を測りやすくするため前方に位置しています。(画像はボブキャット)

2 草食獣

臼歯の特殊化・巨大化が見られ、植物を磨り潰すことに長けた構造です。下顎は上下左右に動きます。目は見通しが利くよう左右に位置しています。(画像はウマ)

*雑食獣の歯は、肉食・草食両方の特徴を兼ね備えています。



枝角と洞角

1 枝角

シカ科の枝分かれした角のことで、毎年生え変わります。最初は薄い皮膚をかぶっていたものが、やがて剥がれ落ちて硬い骨質の角(頭骨とは別のもの)になっていきます。トナカイなど一部の例外を除いてオスのみにしか角はありません。(画像はニホンジカ)


*キリンの角は頭骨からの突起が皮膚で覆われたもので、生え変わりません。
*サイの角は毛と同様ケラチン質の硬い塊で、切り取るとまた少しずつ盛り上がってきます。

2 洞角

ウシ科の角のことで、枝分かれが無く、一生生え変わることはありません。頭骨から伸びた突起にケラチン質の硬い表皮がかぶっていて、この中空の鞘は骨からはずすことが出来ます。オスメス共に角がある場合と、オスにしかない場合とがあります。万が一、角が根元から折れると頭骨と脳にまで大きな損傷を与え、大抵は間もなく死に至るそうです。「角を矯めて牛を殺す。」とはよく言ったものですね。(画像はヤギ)


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