オオカミ・キツネ・タヌキ

• エゾオオカミはタイリクオオカミの一亜種で、かなり大型だったようです。北海道開拓と狩猟による餌のエゾシカの激減で家畜を襲うようになったオオカミは「害獣駆除」され、徐々にその数を減らしていきました。飼い犬からの伝染病に追い討ちされ、懸賞金まで賭けられた彼らの末路はもう目に見えていました。徹底的に狩りつくされて、北海道の原野から見る見るうちにその姿を消していったのです。
• ニホンオオカミは森林での生活に適した小柄なオオカミです。四脚が比較的短く額がなめらかで耳が小さなことから、原始的なけものとされ一時はオオカミとは別種と見なされて「ヤマイヌ」と呼称する動きもありました。今ではタイリクオオカミの一亜種とされるに止まっています。作物を荒らすイノシシやシカの天敵でもあるので、農耕民にとっては「大口の真神」として大切な存在でした。開墾や牧畜で使役していた馬や牛を襲われた北海道開拓民と、こういった点でオオカミに対する感情の抱き方が違うのは当然のことかもしれません。しかし、森林破壊や洋犬からの伝染病によってニホンオオカミもだんだんと見られなくなったことは、エゾオオカミと同じです。深い森の中で生きるニホンオオカミは、生息地を断片化されたことにより移動を制限され、近親交配による弱小化（矮小化）が進んだのではないかとも言われています。いずれにしても、あらゆる抵抗力を失った野生動物の未来は、まさに風前の灯火だったであろうことは想像に難くありません。彼らの姿をもう見ることも無いのかと思うと、ただただ、残念でさみしくて仕方ありません。
• キツネは犬歯が細長く、タヌキより肉食性が強い単独性のけものです。毛の豊かな太い尾は、急な方向転換をする時の舵の役割と、体を丸めて休む時に鼻面に当てて防寒具にもなるようですが、犬のように尾での感情表現はしません。歩き方は直線的で、ジグザグのタヌキと区別しやすいです。「キツネのおしっこは臭い！」なんていいますが、確かに私もツンと刺激のある独特なにおいを動物園のオリの前でかいだことがよくあります。でも動物は少なからず体臭があるので、そのちょっと強いやつだと思えば自然わくわくするような香りに感じられてくるのは私だけでしょうか・・？キツネもタヌキも藪中での生活をするせいか瞳孔が縦に細長くなっています。これは開けた場所で生活するヤギやヒツジなどの横長の瞳孔と対照的です。
• タヌキはイメージどおりなかなか愛嬌のあるけものです。四肢が短く、獲物を追う狩よりはむしろあっちこっち歩きながらの拾い食いがほとんどで、イヌ科の中でも原始的なタイプだと言われています。雑食の傾向が強く、木登りも得意で、ためフンをし、驚くと死んだふりもします。郊外で人家の周辺をうろつくタヌキが多いのも、柔軟な適応性を持つことの表れらしいですが、そのためにペットからの病気などが感染しやすいのも事実です。野生動物は予防接種なんて受けられませんから、新たな病気に対する抗体を持っていません。毛の抜けたタヌキの痛々しい姿に心を痛めると同時に、それでも人間の生活空間で生きることをやめない彼らのしたたかさを垣間見たようで、うれしいやら切ないやら・・。



オオカミとイヌ

オオカミとイヌを見極めるのは簡単ではありません。
オオカミに良く似たイヌはたくさんいますし、しぐさも生活パターンも両者はほとんど同じだからです。
外見上分かりやすい点を挙げれば、オオカミは両前足の肘がくっつきそうなくらい極端に胸幅が狭いこと、前足の第３と第４指が妙に長いこと、頬骨が高いせいか目がつり上がりぎみ、の３点でしょうか。
ぱっと見たところイヌより脚が長く、体長の割りに体高があるように見えますが・・動物園などで出会えたら確認してみて下さい。





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