けもの(哺乳類)とは?


哺乳類の「哺」は「口でとる」の意味、すなわち口を使って乳を飲むということ。
卵ではなく幼子を産み、母乳を出し、体が毛で覆われる「けもの」。
これが哺乳類の簡単な定義です。
「えー、それだけ?」という方は、以下もご覧下さい。



  1. 一般に体表を毛が覆う。
  2. 一般に歩行する時脚が完全に体を支える。→詳しくはこちら!
  3. 筋肉質の横隔膜が胸腔と腹腔を分ける。
  4. 母親は乳腺が発達し乳汁を分泌して幼児を哺育する。
  5. 一般に頚椎は7個。
  6. 鼓膜の振動を内耳に伝える耳小骨は「槌骨」「砧骨」「鐙骨」の3個。
  7. 頭蓋の後頭部にある大後頭孔の左右に後頭顆は2個。
  8. 上顎と下顎にある歯の数は多くの動物群で一定し、「切歯」「犬歯」「前臼歯」「後臼歯」に分化する。→詳しくは「頭骨のつくり」のページにて!
  9. 単孔類を除いて肛門と泌尿生殖門は別々に開く。
  10. 赤血球は循環系においては無核で、その形は円盤状。
  11. 単孔類を除いて全て胎生。



哺乳類は初期の爬虫類の一種(単弓類)から少しずつ進化してきました。下はオオトカゲとタヌキの骨格です。
オオトカゲは4脚を大きく広げて体を左右に揺らしながら地面すれすれに歩きますが、タヌキは柔軟性のある4脚を使って素早く地上を移動します。肋骨は横隔膜の位置で終わっていて、オオトカゲのように頚椎にあったり腹全体を覆ったりはしていません。
(*画像は2枚とも国立科学博物館にて撮影)



下はワニ(クロコダイル種)とコヨーテの頭骨です。
ワニの歯は全部同じ形で下顎は複数の骨が合わさって出来ていますが、コヨーテの歯は複雑な形に分化していて下顎は歯骨だけで出来ています。脳の入る部分はコヨーテの方が大きく、頬骨弓(両頬にあるアーチ状の骨)が大きく湾曲して横に張り出しています。これは、この内側に発達した咀嚼筋が付いている証拠です。哺乳類独特の体の構造と運動能力を維持していくためには、体温を常に一定に保たなくてはなりません。そのためには食物を多量に効率よく摂らなくてはならず、長い年月をかけて顎と歯を進化させていったのです。



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